親族間売買

住宅ローンが払えない、売却せざるをないけど、どうしてもそのまま住み続けたいといった場合、

  • セール&リースバックでは買ってくれる人がいない、
  • 第三者では不安だ、
  • 子供に残したい、
  • 家賃を払えない、

といったケースでは、親族に買ってもらうというのも方法でしょう。

ただし、親族間売買の場合は、通常の売買と違い資金調達、税務、債権債務の問題があるので注意が必要です。

親族間売買の6つの問題点

  1. 資金調達の問題
  2. 売買価格の問題
  3. 譲渡所得税の問題
  4. 住宅ローン控除の問題
  5. 任意売却の場合の問題
  6. 資産隠しの詐害行為の問題

【親子間売買の6つの問題点とその理由】

1.資金調達の問題(住宅ローンが組みづらい)

親子間売買による住宅ローンは、金融機関の多くが取扱い不可です。
その理由は、一般的に親子間の不動産の取得は、「贈与」か「相続」になるため、なぜわざわざ「売買」にするのか?という疑問から、

  • 住宅ローンという低金利な融資を利用して、別の資金調達に使うのではないか?
  • 法定相続人と揉めているので、売買をするのではないか?

と金融機関から懸念され、取扱いが不可な場合が多いのです。
また、住宅ローンの保証を行う保証会社が親子間売買の場合だと保証をしないという規定があるので、保証が通らないと融資ができないケースもあります。
もちろん、親族間売買でも融資をするという金融機関がありますが、売買代金全額の融資が厳しく、担保評価が低く必要な資金調達ができない場合や、金利が高い場合がほとんどです。

2.売買価格の問題(贈与税がかかる可能性がある)

親子間だからと言って安く売買しようとするケースがありますが、そういった売買を「低廉譲渡(ていれんじょうと)」と言い、安く売った分が「贈与」と見なされ、買った方に贈与税が課税されます。
そのため、親子間だからと言って安く売買しようと思いがちですが、しっかりと「時価」で取引しないとなりません。

3.譲渡所得税の問題

元々買った金額から、売った金額の利益に対して「譲渡所得税」として課税され、売った方に税金がかかります。
通常、自宅の売買の場合は、「3,000万円の特別控除」があり、3,000万円以上利益が出なければ、税金はかかりませんが、親子間売買の場合は、この「3,000万円の特別控除」が適用されないため、元々買った金額が安く、売った金額が高ければその利益に対して税金がかかります。
 

4.住宅ローン控除の問題

住宅ローンを借りて住宅を買った場合、年末残高に対して1%の所得控除が10年間受けられるという「住宅ローン控除」が適用される場合がありますが、住所が同一の親子間売買の場合はこの控除が適用されません。
 

5.任意売却等の場合の問題

オーバーローン状態の任意売却のケースで、住宅ローンが払えないので、子供売りたいという場合は、債権者の同意が取れない場合が多いです。
もちろん、状況によっては親子間売買を認めてくれる場合がありますが、不動産を売っても債務が残る状態なのに、安く子供に売却して住み続けるというのは、債権者としては認められない、それなら全額返済をしてくださいと言われてしまいます。 

6.資産隠しの詐害行為の問題

借金の整理等で家を売らなくてはならないケースで、安値で子供に売却してしまうと、債権者から「資産隠し」と見なされて、「詐害行為取消権」で訴えられ、家の名義が戻されてしまうことがあります。

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